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KYOISEN JOURNAL

こども家庭ソーシャルワーカーについて

毎日の生活の中で、精神的に苦しんでいる子どもを助ける資格として「こども家庭ソーシャルワーカー」という資格を聞いたことがありますか?

2024年度より、新しく新設される予定の資格「こども家庭ソーシャルワーカー」。子どもや家庭の問題に対する専門家として、厚生労働省の専門部会で準備が進められています。

毎年増加している、児童虐待の件数、保護者の離婚による貧困、育児の孤立化、家庭内暴力など、こういった子どもを取り巻く問題を対処する資格として、

「こども家庭ソーシャルワーカー」が創設されることになりました。

こども家庭ソーシャルワーカーって?

こども家庭ソーシャルワーカーは、2024年4月の開始時点においては民間資格となっており、国家資格ではありません。

ただし、制度開始から2年後には国家資格化することも検討されています。

こども家庭ソーシャルワーカーの資格が新設された背景には、深刻な児童虐待の問題があります。

令和3年の児童相談所での児童虐待相談件数は、207,659件と毎年増加しています。(厚生労働省調べ)前年度より2,615件(1.3%)増え、過去最多を更新。

相談の内容別件数は、

・心理的虐待12万4,722件(全体の60.1%)

・身体的虐待4万9,238件(23.7%)

・ネグレクト3万1,452件(15.1%)

・性的虐待2,247件(1.1%)

 

前年度の件数で比べると、身体的虐待は797件のマイナス、他は心理的虐待が3,388件、ネグレクトが22件、性的虐待が2件とそれぞれ増加しています。

 

相談の経路別件数は、

・警察等10万3,104件(全体の49.7%)

・近隣知人2万8,075件(13.5%)

・家族親戚1万7,344件(8.4%)・

・学校1万3,972件(6.7%)

 

件数が増加した要因として厚生労働省は次の3点をあげています。

①心理的虐待に係わる相談対応件数の増加

(令和2年度12万1,334件⇒令和3年度12万4,722件<+3,388件>)

②家族親戚、近隣知人、児童本人等からの通告の増加

(令和2年度 46,521件⇒令和3年度:47,948件<+1,427件>)

③令和2年度と比べ児童虐待相談対応件数が増加した要因として、虐待相談窓口の普及などにより、家族親戚、近隣知人、児童本人等からの通告が増加

(参考:厚生労働省サイト内「令和4年度全国児童福祉主管課長・児童相談所長会議資料」 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/01.pdf) 

こども家庭ソーシャルワーカーの働く場所って?

こども家庭ソーシャルワーカーは、児童相談所や市町村の福祉事務所や市役所、児童養護施設、乳児院、児童発達支援センター、学校などでの活躍が期待されています。

今までは、児童相談所・児童養護施設などでは「児童福祉司」が対応していました。しかし、大きな問題として児童福祉司の約50%が勤続年数3年未満という状況にあり、

人材の定着化・確保が大きな課題となっていました。

そこで、児童福祉法上、この「こども家庭ソーシャルワーカー」の資格が児童福祉司の任用資格として位置づけられたことにより、児童福祉司の課題を解決していけると期待されています。

また、今回の任用資格を拡大することで、こども家庭ソーシャルワーカーが児童相談所のスーパーバイザーになるための要件を緩和する(実務経験を約5年から約3年に短縮する)ことや、施設等への配置によりインセンティブを設けることなども検討されています。

こども家庭ソーシャルワーカーになるには

こども家庭ソーシャルワーカーの資格を取得するには3つのルートがあります。

①「社会福祉士・精神保健福祉士ルート」

②「相談援助実務経験者ルート」

③「保育所保育士ルート」

いずれも一定の実務経験、研修の修了、試験の合格が必要です。

(参考:厚生労働省「子ども家庭福祉の認定資格の取得に係る研修等に関する検討会 とりまとめ【案】」)

 

社会福祉士・精神保健福祉士ルート

社会福祉士または精神保健福祉士として、子ども家庭福祉に関する知識・技術を用いた相談援助の実務経験が2年以上ある人が対象です。

こども家庭福祉に係る研修の修了、こども家庭ソーシャルワーカー試験に合格することで資格が取得できます。

なお、一定程度の相談援助業務をおこなっていない場合は、追加研修を受講する必要があります。

 

・相談援助の実務経験として認められる施設の例は次のとおりです。

(実務経験として認められる施設例)

・児童相談所

・母子生活支援施設

・児童養護施設

・障害児入所施設

・児童発達支援センター

・児童心理治療施設

・児童自立支援施設

・障害児通所支援事業をおこなう施設

・障害児相談支援事業をおこなう施設

・乳児院

・教育機関

・児童自立生活援助事業をおこなっている施設

・子育て短期支援事業をおこなっている施設

・児童家庭支援センター

・こども家庭総合支援拠点

・子育て世代包括支援センター

・その他都道府県または市町村の児童家庭相談業務をおこなう部署

(子どもまたはその家庭に対する支援をおこなったことが証明できる場合に実務経験として認められる施設例)

・保健所

・病院および診療所

・身体障害者更生相談所

・精神保健福祉センター

・救護施設

・更生施設

・福祉に関する事務所

・婦人相談所

・婦人保護施設

・知的障害者更生相談所

・養護老人ホーム

・特別養護老人ホーム

・軽費老人ホーム

・老人福祉センター

・老人短期入所施設

・老人デイサービスセンター

・老人介護支援センター

・母子・父子福祉センター

・介護保険施設

・指定介護療養型医療施設

・地域包括支援センター

・障害者支援施設

・地域活動支援センタ-

・福祉ホーム

・障害福祉サービス事業

・一般相談支援事業をおこなう施設

・特定相談支援事業をおこなう施設

・授産施設、宿所提供施設

・老人ホーム

・刑事施設

・少年院

・少年鑑別所

・更生保護施設

・保護観察所

・「精神障害者地域移行支援特別対策事業」を行っていた施設

・地域若者サポートステーション

・こども・若者総合相談センター

 

相談援助実務経験者ルート

制度開始後、期限付きで認められる経過措置のルートです。

子ども家庭福祉に関する知識・技術を用いた相談援助の実務経験が4年以上あることに加え、ソーシャルワークに関する研修を受講した人が対象です。

その上でこども家庭福祉に係る研修の修了、こども家庭ソーシャルワーカー試験に合格すると資格が取得できます。

(相談援助の実務経験として認められる施設の例)

・保健所

・病院および診療所

・身体障害者更生相談所

・精神保健福祉センター

・救護施設

・更生施設

・福祉に関する事務所

・婦人相談所

・婦人保護施設

・知的障害者更生相談所

・養護老人ホーム

・特別養護老人ホーム

・軽費老人ホーム

・老人福祉センター

・老人短期入所施設

・老人デイサービスセンター

・老人介護支援センター

・母子・父子福祉センター

・介護保険施設

・指定介護療養型医療施設

・地域包括支援センター

・障害者支援施設

・地域活動支援センタ-

・福祉ホーム

・障害福祉サービス事業

・一般相談支援事業をおこなう施設

・特定相談支援事業をおこなう施設

・授産施設、宿所提供施設

・老人ホーム

・刑事施設

・少年院

・少年鑑別所

・更生保護施設

・保護観察所

・「精神障害者地域移行支援特別対策事業」を行っていた施設

・地域若者サポートステーション

・こども・若者総合相談センター

 

保育所保育士ルート

制度開始後、こちらのルートも期限付きで認められる経過措置のルートです。

保育士として以下どちらかの規程の実務経験が4年以上あることに加え、ソーシャルワークに関する研修を受講した人が対象です。

・要支援児童等の対応や関係機関との連携の強化、地域連携推進員として子ども家庭福祉に関する知識・技術を用いた相談援助業務

・保育所長、主任保育士、副主任保育士等として、子ども家庭福祉に関する知識・技術を用いた相談援助業務

その上でこども家庭福祉に係る研修の修了、子ども家庭ソーシャルワーカー試験に合格すると資格が取得できます。

こども家庭福祉に係る研修の内容

こども家庭福祉に係る研修は、民間の職能団体などによって実施される予定です。研修時間は100時間程度で、通常業務との両立がしやすいよう、オンライン授業やレポート審査などが取り入れられる見込みです。

こども家庭福祉に係る研修のカリキュラム

・こどもの権利擁護

・こども家庭福祉分野のソーシャルワーク専門職の役割

・こども家庭福祉Ⅰ(こども家庭をとりまく環境と支援)

・こども家庭福祉Ⅱ(保護者や家族の理解)

・こども家庭福祉Ⅲ(精神保健の課題と支援)

・こども家庭福祉Ⅳ(行政の役割と法制度)

・こどもの身体的発達等、母子保健と小児医療の基礎

・こどもの心理的発達と心理的支援

・児童虐待の理解

・少年非行

・社会的養護と自立支援

・貧困に対する支援  ・保育  ・教育

・こども家庭福祉とソーシャルワークⅠ(多様なニーズをもつこどもや家庭へのソーシャルワーク)

・こども家庭福祉とソーシャルワークⅡ(こどもの安全確保を目的とした緊急的な対応に関するソーシャルワーク)

・こども家庭福祉とソーシャルワークⅢ(地域を基盤とした多職種・多機関連携による包括的支援体制の構築)

・こども家庭福祉とソーシャルワークⅣ(組織の運営管理)

(参考:厚生労働省「子ども家庭福祉の認定資格の取得に係る研修等に関する検討会 とりまとめ【案】」)

こども家庭ソーシャルワーカー試験の内容

こども家庭ソーシャルワーカー試験は、厚生労働省により認定を受けた民間機構による年1回以上の実施が検討されています。

内容は子ども家庭福祉の基本的な知識や技術に関する問題で、選択肢式の出題形式が予定されています。

実技試験は行われない見込みです。

こども家庭ソーシャルワーカーの必要性

様々な家庭問題・社会問題により、子どもたちが抱える問題は複雑化しています。

子どもの心身状態や生活環境、親の精神疾患、貧困、虐待、不登校・・など、情報を収集して、問題を明らかにするにも時間がかかります。

学校や地域と連携しながら訪問したりして、子どもが心身ともに安全かつ安心して暮らせる環境作りを目指して児童福祉士が奮闘していますが、この複雑化した問題を解決し支援するには、児童福祉士の資格だけでは対応できなくなってきています。

そこで、社会福祉士や精神保健福祉士といったソーシャルワークの知識や経験のある人が、行政職として、子どもたちを取り巻く問題に対応する専門性を身に付けることで、その家庭の状況に合わせた対応ができるのではないかと期待されています。

生活に支援や援助が必要な人の相談相手となる役割である「社会福祉士・精神保健福祉士」といったソーシャルワーカーは、助言や指導を行うだけでなく、親や子どもに寄り添いながら心理的サポートも行っています。

今、子どもたちが抱えている様々な問題を解決していくために「こども家庭福祉ソーシャルワーカー」が必要なのです。

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