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がわかるコラム

2025
06
UPDATE

手話とは?

手話は、手や指の動き、表情などを使ってコミュニケーションを取る視覚言語です。 聴覚障がい者の方々を中心に使われていますが、手話を学ぶことで、より多くの人と円滑にコミュニケーションを取ることができます。

日本には「日本手話」と「日本語対応手話」の2種類があり、日本手話は独自の文法を持つ自然言語で、日本語対応手話は日本語の語順に合わせたものです。

手話の仕事

手話通訳の仕事は、聴覚に障がいがある「聴覚障がい者」と耳の聞こえる健常者のコミュニケーションをサポートすることです。

日常生活の中で健常者同士の中でコミュニケーションは、音声言語でのやりとりがほとんどです。しかし、聴覚障がい者とそうでない人同士がコミュニケーションをとる場合は音声言語の通訳をする人が必要になります。それが「手話通訳」の仕事です。

病院や学校など、あらゆる場面でコミュニケーションをとる必要がある生活の中では、携帯電話の普及により、専用アプリが開発され、昔よりはコミュニケージョンがとりやすくはなってきました。 しかし、1対1の対面でのコミュニケーションではない場合や携帯を使用できない環境下の場合などは「手話で通訳をする人」が必要になります。

また、逆に聴覚障がい者がコミュニケーションに困ることがないように手話を教えていくのも仕事になります。

手話通訳になるための資格にはどんなものが

手話通訳の仕事に就くために資格を調べると「手話通訳士」「手話通訳者」の2つがてきます。同じものだと思っている人が多いと思いますが、実はこの2つの資格にははっきりとした制度や資格の内容も大きな違いがあります。

手話通訳者

・都道府県等が認定する

・指定された都市で実施される「手話通訳者養成研修」を修了する

・試験は全国手話通訳研修センター主催

・1~5級と試験に難易度がある

・全国手話通訳研修センターは嵐山にある

手話通訳士

・厚生労働省が認定する資格

・国家資格に近い

・聴力障がい者情報文化センター主催の試験

・高度な専門知識と技能が求められ、合格率10%~20%

・原則受験資格は18歳以上

・聴力障がい者情報文化センターは東京にある

手話を仕事にしていくためのルート

取得するにはどちらがいいのかと考えがちですが、試験の難易度、資格取得後の働き方の違いがそれぞれにあり、下記のルートの方が多いのではないでしょうか。

①手話奉仕員講座 (入門・基礎)

・各自治体や社会福祉協議会で実施(無料 or 安価)

・資格というより「修了証」ですが、次のステップに進むには必須

・活かせる場:ボランティア活動、地域の手話サークルなど

②手話通訳者養成講座(都道府県手話通訳者試験合格 )

・手話通訳者(都道府県・政令指定都市の認定資格)を取得するために講座を受ける

・多くの人がこの資格で通訳の仕事(非常勤・登録制)に就く

・医療機関、市役所、警察、学校などへの通訳派遣が中心で、安定的な仕事が得られやすい

・地域の医療機関、市役所、警察、学校、その地域に住んでいる方の支援をしたい場合はこの資格があった方が仕事に就きやすい

③実務経験

・各自治体が実施する「手話通訳者養成研修」を修了した人が、自治体の通訳派遣制度に登録して活動する仕組み

・初めて手話通訳の現場に入るなら、この「登録通訳者」が入口になることが多い

④手話通訳士受験(手話通訳士合格)

・厚生労働書認定の国家資格に近い資格

・試験では、言語能力・倫理・聴覚障害理解・実技通訳などを問われる

・難関試験で、受験には実務経験または研修修了が必要(誰でも受けられるわけではない)

・全国で働くことが可能

・法廷、放送通訳、国際会議など、高い専門性が求められる場面で活躍

最初から「手話通訳士」だけを目指すよりも、まず都道府県の資格を取って仕事経験を積む方が就職・仕事には有利です。その後、手話通訳士を目指すとキャリアの幅がぐっと広がります。

手話通訳の仕事の職種と取得していると有利な資格について

手話通訳の仕事に就くために、社会福祉士や精神保健福祉士の資格が必須というわけではありませんが、あると有利になる場合があります。

社会参加するあらゆる場面でサポートすることが手話通訳の仕事です。

社会福祉士+手話通訳のスキルが活かせる主な職場

社会福祉士と手話通訳の両方のスキルを活かせる仕事は、聴覚障がい者支援の現場を中心にさまざまな場所で存在します。

①聴覚障がい者情報提供施設(聴覚障がい者センターなど)

・各都道府県や指定都市にある福祉施設

・利用者対応、通訳派遣調整、相談支援、啓発活動など

・社会福祉士として相談支援、手話通訳者として直接支援が両立できる職場

②障害者就業・生活支援センター

・障がい者の就労支援・生活支援を担う中核機関

・聴覚障がいのある方の相談対応、企業との調整、面接同行の通訳など

・社会福祉士の支援計画作成力と手話通訳のコミュニケーション力がどちらも求められる

③市町村の障害福祉課(行政)

・地方公務員として勤務、または非常勤・嘱託で雇用されることも

・障がい福祉サービスの申請・相談対応を手話通訳を介して行えるのが大きな強み

・聴覚障がい者専任の相談支援員ポジションなどで活躍可能

④医療機関・病院(医療ソーシャルワーカー)

・病気、障がいによる生活困難を抱える患者の支援

・聴覚障がいのある患者に対して、医師とのやりとりを手話通訳しながら、退院支援・生活設計を行う

・手話通訳+社会福祉士の医療福祉専門職として希少価値が高い

⑤大学・支援学校の障がい学生支援室

・聴覚障がいのある学生の学習支援・進路相談

・授業通訳、福祉的支援(制度利用)などに関与

・教育×福祉×通訳という分野で、専門性のある仕事ができる

⑥地域包括支援センターや相談支援事業所

・高齢、障がい、生活困窮など、複合的な支援が求められる現場

・聴覚障がいのある方とのコミュニケーション支援ができるスタッフは非常に貴重

・地域密着で、多様な相談に対応できる

手話通訳の資格だけでなく、社会福祉士の資格があることで安定して働くことができ、聴覚障がいのある方の生活にコミュニケーション以外のことも寄り添えることは、支援する上では、強くやりがいを感じます。

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