医療・福祉の
「現場の今」
がわかるコラム

2024
09
UPDATE

音楽療法って?

 

「音楽のもつ生理的、心理的、社会的働きを用いて、心身の障がいの軽減回復、機能の維持改善、生活の質の向上、問題となる行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に使用すること」(日本音楽療法学会)

と定義されています。

 

音楽を治療に応用するようになったのは、アメリカで第一次世界大戦の帰還兵のPTSD(心的外傷後ストレス障害)を癒したことが最初だと言われています。

今では子どもから高齢者まで幅広く活用されている音楽療法ですが、高齢者の認知症にも効果があるとして注目されています。

また、認知症だけでなくパーキンソン病、統合失調症の治療、がん患者の終末期のケアなどさまざまな場面で利用されるようになりました。

 

 

 

認知症と音楽療法

 

 

例えば、認知症療法のひとつである、昔を思い出す「回想法」として、懐かしい音楽からその頃の思い出がいきいきとよみがえることもあります。

子どもの頃によく歌った動揺ほど、覚えていることありませんか?

音楽は「記憶の扉を開けるカギ」とも言われており、楽しかった昔を思い出し、気持ちが明るくなったり、やる気になったりすることで心理的な効果と脳機能の活性化に繋がります。

人がリラックスしている時に現れる脳波の一種α波は、穏やかな音楽を聴いて緊張がほぐれた時に出やすい波形と言われているので、リラックスが必要な時に音楽を流して、緊張を和らげたりストレスを軽減できるなど、心理状態に働きかけることができます。

具体的には、ゆったりとした単調な曲がよく、クラッシック曲、特にモーツアルトがいいといわれています。

 

認知症の高齢者は、忘れてばかりで自信をなくしたり、暗くなってしまうことが多い生活の中で、思い出す事で自信を取り戻したり、明るい気持ちになったりする効果あります。

そうした心理的な面が安定することで、徘徊などの問題行動も軽減され、介護福祉士の介護がスムーズに行えるという効果もあります。

 

 

 

介護施設で行われる音楽療法

 

音楽療法には、音楽を聴く「受動的音楽療法」と、歌を歌ったり、楽器を奏でる「能動的音楽療法」があります。

 

介護施設では多くの場合、集団に対して実施され、音楽療法士が演奏をして受動的音楽療法として音楽を聴いてもらったり、伴奏をして合唱や合奏してもらう能動的音楽療法を行っています。

 

いずれの場合も、音楽療法士はその集団全体だけではなく、一人ひとりの様子を注意深く観察しながら、その場に適した演目やプログラムを導入していきます。

 

残念ながら現時点では、日本の音楽療法士の人数は十分とはいえません。

そのような専門的な音楽療法を実施している施設はまだまだ少ないでしょう。

 

音楽療法士の資格を持たない介護福祉士がCDを流して、高齢者の利用者さんに聴いてもらったり、ボランティアさんに楽器を演奏してもらったり、カラオケを歌ってもらったりしている施設も少なくない状況です。

 

認知症は記憶することが難しくなってしまう病気ですが、楽しい、嬉しい、といった感情を失ってしまうわけではありません。

周囲の人が音楽を通して認知症の人に寄り添うことで、一緒に楽しいときを過ごすことができるのです。

 

音楽療法士として働くことは容易ではなく、介護福祉士や社会福祉士、精神保健福祉士などの国家資格を持ちながら、仕事内容に取り入れていく働き方がほとんどであるのが、今の日本の現状です。

 

介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士・社会福祉主事を目指すなら京都医療福祉専門学校で学びませんか?

京都医療福祉専門学校は厚生労働省から指定された社会福祉主事養成校です。

資料請求は、

https://www.fukushi21.ac.jp/day/require/

RELATED ARTICLE

COLUMN
01

介護福祉士になるには!介護福祉士の仕事内容や職場、合格率、必要実務年数紹介

高齢者を支える仕事

「介護福祉士」(別称「ケアワーカー」)とは、介護という言葉が付いているように、「介護を必要とする高齢者や障害者の方、またそのご家族の心身の介護・ケアを行う専門職」のこと。 一般的に認知度が高い類似呼称として「ヘルパー」がありますが、「介護福祉士」を名乗るには国家資格が必要であり、資格の有無にかかわらないヘルパーとは異なります。 1987年に制定された「社会福祉士及び介護福祉士法」によって生まれた介

COLUMN
02

介護福祉士の仕事のやりがいや魅力について

高齢者を支える仕事

将来何がやりたいかわからないけれど、安定性した仕事がいい。 どんな仕事があるかわからないけれど、人の役に立つ仕事がしたい、など今後の将来を考えた時に、今後需要が高まる仕事の一つに「介護」があります。 超高齢社会からもわかる介護の重要性 日本は団塊の世代が75歳を迎える2025年には、 日本の総人口1億2,254万人のうち、 65歳以上の高齢者は3,677万人 75歳以上の高齢者の人口が2,180万

COLUMN
03

介護福祉士と理学療法士の今後

高齢者を支える仕事

高齢者分野で活躍する介護福祉士と理学療法士。利用者や患者を支援する職業でどちらも「今、その方ができること」に目を向けて支援するお仕事です。 理学療法士はリハビリを実施することで日常生活が送れるように支援するのに対して、介護福祉士は利用者の生活全般を支援する仕事になります。 理学療法士・介護福祉士をこれから目指す方にとって将来性は重要なポイントです。そこで、それぞれの資格の現状や今後がどのようなもの

カテゴリーからみる
KYOISEN JOURNAL