医療・福祉の
「現場の今」
がわかるコラム
音楽療法って?

「音楽のもつ生理的、心理的、社会的働きを用いて、心身の障がいの軽減回復、機能の維持改善、生活の質の向上、問題となる行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に使用すること」(日本音楽療法学会)
と定義されています。
音楽を治療に応用するようになったのは、アメリカで第一次世界大戦の帰還兵のPTSD(心的外傷後ストレス障害)を癒したことが最初だと言われています。
今では子どもから高齢者まで幅広く活用されている音楽療法ですが、高齢者の認知症にも効果があるとして注目されています。
また、認知症だけでなくパーキンソン病、統合失調症の治療、がん患者の終末期のケアなどさまざまな場面で利用されるようになりました。
認知症と音楽療法

例えば、認知症療法のひとつである、昔を思い出す「回想法」として、懐かしい音楽からその頃の思い出がいきいきとよみがえることもあります。
子どもの頃によく歌った動揺ほど、覚えていることありませんか?
音楽は「記憶の扉を開けるカギ」とも言われており、楽しかった昔を思い出し、気持ちが明るくなったり、やる気になったりすることで心理的な効果と脳機能の活性化に繋がります。
人がリラックスしている時に現れる脳波の一種α波は、穏やかな音楽を聴いて緊張がほぐれた時に出やすい波形と言われているので、リラックスが必要な時に音楽を流して、緊張を和らげたりストレスを軽減できるなど、心理状態に働きかけることができます。
具体的には、ゆったりとした単調な曲がよく、クラッシック曲、特にモーツアルトがいいといわれています。
認知症の高齢者は、忘れてばかりで自信をなくしたり、暗くなってしまうことが多い生活の中で、思い出す事で自信を取り戻したり、明るい気持ちになったりする効果あります。
そうした心理的な面が安定することで、徘徊などの問題行動も軽減され、介護福祉士の介護がスムーズに行えるという効果もあります。
介護施設で行われる音楽療法

音楽療法には、音楽を聴く「受動的音楽療法」と、歌を歌ったり、楽器を奏でる「能動的音楽療法」があります。
介護施設では多くの場合、集団に対して実施され、音楽療法士が演奏をして受動的音楽療法として音楽を聴いてもらったり、伴奏をして合唱や合奏してもらう能動的音楽療法を行っています。
いずれの場合も、音楽療法士はその集団全体だけではなく、一人ひとりの様子を注意深く観察しながら、その場に適した演目やプログラムを導入していきます。
残念ながら現時点では、日本の音楽療法士の人数は十分とはいえません。
そのような専門的な音楽療法を実施している施設はまだまだ少ないでしょう。
音楽療法士の資格を持たない介護福祉士がCDを流して、高齢者の利用者さんに聴いてもらったり、ボランティアさんに楽器を演奏してもらったり、カラオケを歌ってもらったりしている施設も少なくない状況です。
認知症は記憶することが難しくなってしまう病気ですが、楽しい、嬉しい、といった感情を失ってしまうわけではありません。
周囲の人が音楽を通して認知症の人に寄り添うことで、一緒に楽しいときを過ごすことができるのです。
音楽療法士として働くことは容易ではなく、介護福祉士や社会福祉士、精神保健福祉士などの国家資格を持ちながら、仕事内容に取り入れていく働き方がほとんどであるのが、今の日本の現状です。
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